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第3回

「家の維持と管理」設備編

建物における設備とは主に、給排水、電気、ガス、換気のことです。
これらは私たちの暮らしに、なくてはならないものです。

たとえば「水」。
朝、目覚めてからから眠りにつくまでのあいだ、
あらゆる場面で利用している水ですが、
実は飲用や食事などで体に取り入れているのは全体のたった1%ほど。※1

残り99%は、トイレや炊事、風呂、洗濯など、
主に「汚れを洗い流す」目的で使用されているのだそうです。※2

ということは、給水される水は暮らしの中でほとんどが
「汚水」となって流されている、ということになります。

そう考えると、排水管がいかに汚れやすく、
同時にいかに大切か、ということに気づかされます。

毎日の暮らしの中で当たり前に使っている上下水道ですが
その設備の不備には、なかなか気付きにくいものです。
水漏れや詰まりなど、小さなトラブルを放っておくと、
いつか私たちの暮らしに、大きな影響を及ぼすことにもなりかねません。


第3回は、このように大切な「設備」に関するお話です。
不備が生じたかどうかのチェック方法と原因、さらには対処方法を紹介していきます。

※1 環境省熱中症環境保健マニュアル2009より
※2 東京都水道局2006年調べ

■まずは給排水から。

使用する前のキレイな水が給水、そして使用後に流れていく水が排水ですよね?
普段、どういったところに注意をしたらよいのでしょうか?

小池
まず給水ですが、キッチン、洗面室、浴室など水道の水栓をひねったときに、
水が濁っていないか、水の出はよいか、器具からの漏水はないかなど、
日頃から注意しておくことが大切ですね。
他に、洗濯物に色がついてしまった時もサインといえます。

え? 水が濁るというのは、何色に?

小池
白く濁るときは空気が入っていることが多いので、あまり気にしなくて良いかも
しれませんが、赤い水は要注意ですね。給水管が劣化して、
サビが出てしまっている可能性があります。
他に、近所で水道本管の工事が行われた場合も、濁り水の出る可能性があります。

ところで、漏水を見つける方法はあるのでしょうか?

小池
壁の中や床下の水漏れ、あるいは敷地内に埋まっている配管からの
漏水は発見しにくいものです。すぐにできる点検方法は、敷地内の
すべての水栓をしめて、水道メーターが回っているか、
チェックしてみることです。

そういえば、水道料金が前月より急に請求額が増えていたので、
詳しく調べてみたら、漏水があったという方の話を聞いたことがあります。
毎月の水道料金の明細をチェックしておくのも、ひとつの方法ですね。
それでは水が濁っていたり、漏水の疑いを見つけたりしたら、
どうしたらよいのでしょうか?

小池
給水管が劣化し、水が濁ったり漏水が起きている場合、
給水管を修理するのはもちろんですが、漏水によって床や壁などが
濡れたり、シミが出たりした場合など、2次トラブルが起きて
いることが考えられます。
その場合は、給水管を修理する応急処置だけでなく、
建物本体に影響を及ぼしていないか、チェックしておくことが
大切なのです。

なるほど。2次トラブルを引き起こさないためには、
放置せずに、早めに相談することも忘れてはいけませんね。
ところで給水管は、どのくらいで劣化してしまうものなのですか?

小池
20~30年も経つと、管の内部や接続部に劣化が見られることがよくあります。
その場合は、部分的に修復することになりますが、状況次第では給水管の取替えを
考える必要があります。全体に劣化した管の漏水した部分を
つぎはぎしながら補修しても、その場しのぎの処置にしかならず、
近い将来、また管を取り替えなければならない事態が起きかねません。
結果的に多額の工事費用がかかってしまうことも考えられるからです。

確かに、これからも永く安全に、安心して住んでいくことを考えれば、
思い切って新しい給水管に替えるということも検討した方がよいということですね。

小池
最近では、耐久性に優れた素材の管も普及し始めています。
廃棄焼却の際も有害物質を出さないなど、どんどん進化しているのですよ。

それでは排水設備については、どういったことに注意しておいた方がいいですか?

小池
排水口から悪臭があがってくる、あるいは排水しても、
なかなか水がひかない場合ですね。原因としては、髪の毛や油汚れ、
また排水管に何かを詰まらせるなど、管の内側に付着物が増え、
管内を細くしていることなどが考えられます。放っておくと、管が詰まり、
排水があふれ、床やあるいは床下、天井裏まで汚してしまうことになります。

そんなことになったら大変ですね。それでは、詰まらないようにするために、
私たちができることはありますか?

小池
もちろんあります。管を洗浄することです。
集合住宅の場合は、管理会社が定期的に洗浄を実施してくれますが、
一戸建ての場合は自分たちでケアをしないといけません。
3~5年に一度は、パイプの高圧洗浄を行うのがよいでしょう。排水管も
20年以上経っている場合には、全面取り替えの検討も考えに入れ、ご相談下さい。

ほかに気を付けた方がいい点はありますか?

小池
つい先日、庭に物置きを設けたり、植栽を変えるなど、
エクステリアを全面的に改修した際、埋められていた排水管に重圧がかかり、
排水管が破損したというケースがありました。 トラブルは思わぬところで
起こるものです。庭をいじる場合は、排水管にも注意しながら、
作業することを忘れてはいけませんね。

■次に電気のお話です。

小池
よくある問題は、ブレーカーがしばしば落ちることです。
主な原因は電気の使い過ぎか、どこかで漏電している場合です。

どのような不具合が考えられるのでしょうか?

小池
1ヶ所のコンセントからたくさんの器具をつないでいる(タコ足配線)場合や、
スイッチ、コンセントの作動不良、あるいはエアコン、テレビなど
使用している電化製品が故障している場合も、ブレーカーは落ちます。
30年以上経っていれば、電気配線の不具合も考えられます。
度々ブレーカーが落ちるようであれば、心配なので、ご相談ください。

■続いてガスのお話です。

小池
まず、ガス漏れ警報機が設置されているか確認してください。
ガス漏れは命の危険につながるため、警報機のついていない建物には、
ただちに設置されることをお勧めします。

30年前に建てた実家のキッチンが可動式のガスコンロなのですが……。

小池
ガスコンロ等、ガスホースを使っている器具は、
ブルーホースで3年、ソフトホースでは8年で硬化、ひび割れ
など劣化がみられます。可動式のガス器具を使用されて
いる方は、早めのホース取り替えをお勧めします。
また、ガス器具は10年くらいで取り替えを考えられて
良いでしょう。最近のガス器具は安全性が向上しています。
システムキッチンのガスコンロなどは、
万が一ガス漏れを感知した場合、ガスが自動的に
ストップする安全装置がついています。
また、高齢の方はガス漏れや火事が怖いからと、
オール電化に変える方もいます。
住んでいる方のライフスタイルに合わせて機種を
選ばれると良いでしょう。

最近、熱いお湯が出なくなった気がするのですが、
給湯器の寿命はどのくらいなのでしょうか?

小池
給湯器の交換の目安は、7~10年と言われています。
着火が悪い、熱いお湯が出ない、温度が安定しない、
以前よりもお湯が出てくるまでに
時間がかかるなどの症状がある場合は、換え時と言えるでしょう。
最近ではいろいろ便利な機能を持つ高効率の給湯器も出ています。

そうですか。特に冬場は給湯器もフル稼働になりますから、
この機会に一度しっかりと見てもらった方がいいですね。

小池
そうですね。ただし、給湯器を取り替える場合、水まわりのリフォームを
考えているのであれば、給湯器だけでなく、床暖房を設置したり、
キッチンや浴室のリフォームなどと合わせて工事を行えば、
住まい全体のエネルギーを減らすこととなり、光熱費の節約にもつながります。
関連する工事を一度にまとめて計画することは、
結果的に費用もお得になるケースが多いようですよ。

なるほど。10年先、20年先のことを考えて、住まい全体をしっかりと
見直すため、お早めにご相談された方が適切なアドバイスと処置が
施されるということですね。それでは最後に、読売不動産から
お伝えしたいことはありますか?

小池
私たち読売不動産が大切にしていること、
そして何よりの願いは、住んでいる方が
「家を守り、育てていく」気持ちを持っていただくことです。
設備の調子が悪いから、その設備を修理する、または取り換える、
と単純に解決させるのではなく、住まい全体を考えて
対処することが大切です。
何かおかしいなと感じたら、ぜひご相談ください。
そして、きちんとした調査を受けて頂き、正しい対策を施し、
ご家族を育ててきた住まいに、
これからも永く住み続けてほしいと考えております。

取材を終えて。

読売不動産は、これまで50年にわたり、建物の維持管理を行ってきました。
お話を伺うと、その歴史の中で蓄積された「構造と設備」の工事経験やノウハウは、
とても豊富で多岐に渡るものでした。

管理する建物の調査は年に2回。なかでも給排水については、
トラブルの有無にかかわらず、欠かさず調査を行っています。
排水管の精密検査をするため、スコープと呼ばれる内視鏡カメラを使うこともあり、
現状はもちろん、将来的に詰まりが起きる可能性は? というところまで、
しっかり確認しているとのことでした。

「構造」や「設備」のトラブルは、いずれ建物全体へ影響を及ぼす可能性もあるので、
徹底的に原因を追究するのだそう。そして次のメンテナンスが簡単に済むように、
点検口を作っておくなど、「永く安心して暮らせる住まい」のためのリフォームを
常に心がけています。

(取材・文/小西まどか)